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新型コロナ ― 感染後の免疫の出来方

CRNT法(中和抗体評価法)のデータも紹介しつつ、私たちでわかったことをまとめます。


眼に見えない新型コロナウイルスですが、感染して熱や呼吸器症状があった人もいれば、知らないうちに感染していた人もいます。感染して回復していく過程で徐々に抗体は作られるはずですが、感染を邪魔する中和抗体もできてくるのでしょうか。



感染後いつごろから免疫ができるの?


入院が必要な中等症以上の人たちも、しっかりと抗体はできてきます。

下の図は、入院が必要な中等症の方の中和抗体をCRNT法で評価したものです。横は発症した日からの日数を、縦軸は上になるほど中和活性(感染阻止力)が強いことを表します。まず、10日以降になると中和活性が強くなっているこがわかると思います。それよりも早い時期の中和活性は全体としては弱めですが、2日目でも強い反応を示すものもあります。つまり、最初の10日までは個人のばらつきはありますが、10日目以降になると全員が中和抗体を持つようです。

症状がないと免疫は弱いの?中和抗体はいつまであるの?

症状がなかった人では、免疫が弱いことが指摘されています。

私たちの検討でも、確かに症状がある人の方が高い中和活性を示してきます。

獲得された中和抗体は、比較的長く残るようです。私たちのCRNT法では感染阻止率が50%以上で中和活性があると判断しますが、下の図のように、8か月頃でも多く

が抗体を持っており、最長270日を経過した人がいました。



中和抗体を持っていれば感染しないの?

これは、はっきりとはわかりません。

抗体があればかかりにくかったり、かかっても軽くすることが期待できますが、どのレベルの抗体をもてばよいのかがわかりません。もう一つは、今流行している変異株は、ウイルスの形が変わっているため、せっかくできた抗体とうまく合わない可能性があります。

従来株と変異株への中和効果については、また別の機会に説明します。



抗体の量はどれくらいできるの?

中和抗体評価法では抗体の「働き」がわかるのに対し、抗RBD抗体検査では「量」を知ることができます。RBDとは、ウイルスが細胞に直接結合するところのことでした。

下のグラフの左から2つ目の集団は、新型コロナで症状を伴っていて10日以上経過した人たちの値です。全員で抗体が確認されて、その中央値は30.5 U/mLでした。


まとめ

感染後は確実に抗体ができて、感染阻止にはたらく中和抗体も確認されます。



※ 以下のプレプリントで公開されている内容を紹介しています。

medRxiv 2021.05.25.21257828; doi: https://doi.org/10.1101/2021.05.25.21257828

medRxiv 2021.02.06.21251246; doi: https://doi.org/10.1101/2021.02.06.21251246


※ プレプリントとは、査読を終えていない論文投稿中の内容が公開されているものですので、関連内容が最終的に論文化されるまでに変わりうる内容を含んでいます。


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